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Friday, April 2, 2021

NICTがリリースした短波帯電波伝搬シミュレータ(HF-START)を触ってみた

2021年3月24日に国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、任意の2地点間の電波伝搬経路をリアルタイム宇宙天気情報に基づき提供することを可能とする短波帯電波伝搬シミュレーター(HF-START HF Simulation Targeting for All user's Regional Telecommunication)をスタートさせました。そのサイトはこちら

さっそくサイトにアクセスして使ってみました。まだ若干動作が不安定で計算結果がエラーになる等の不具合があるようですが、過去の電離層電子密度分布を使って過去の電波伝搬の様子をシミュレーションすることも可能なようです。

計算に使われる電離層電子密度分布は、GNSSトモグラフィー、 GAIAモデル、および、IRIモデルがあり、

  • GNSSトモグラフィー 観測に基づく日本上空の電子密度分布
  • GAIAモデル 全球大気圏・電離圏モデルから求めた電子密度分布
  • IRIモデル 広く用いられている電離圏経験モデル。IRI-2016をHF-STARTでは使用

とのことです。まだ私もこの辺は門外漢であるため、HF-STARTのWebサイトで紹介されているリンク等を頼りに少しづつ理解を深めていこうと思っている次第です。

HF-STARTという名のとおり、周波数帯は3~30MHzであり、個人的には長波、中波帯もカバーしてもらいたいなと思いますが、NICTの担当者にお伺いしたところ、次のターゲットの周波数帯はLバンドへの適用を最優先に考えているとのことでした。中波DXや、アマチュア無線の1.8MHz帯の交信はとかく謎めいた伝搬が多いので、是非シミュレーションができるようにしていただきたいなとアマチュアながら思っているところです。

試しに前回のソーラーサイクルのピークを向えた2014年の午前11:15における東京-アメリカ・オレゴン州ポートランドの間の21.25MHzの電波伝搬の様子を各月別にシミュレーションしてみました。電離層電子密度分布はIRIモデルを使ってみました。1回の計算に約42秒程かかりました。およそ3回の反射で電波が到達することがわかりますが、季節によっては、ポートランドがスキップされてしまうこともわかります。こうやって、電離層伝搬のシミュレーション結果が簡単に参照できるようになるなんて、すごい時代になったものだと思います。NICTの研究者の方々に拍手を送りたいです。

伝搬シミュレーション結果の出力は3Dマップになっているのですが、角度を変えてみることが出来ないため、パスの方向によっては見づらいこともあります。3Dマップをマウスでグリグリ動かせるようになるともっといいですね。また送信点、受信点の緯度、経度の入力もできれば地図上でクリックすることで入力できるようになると使い勝手はさらに良くなるように思いました。



先日、この本を購入しました。 太陽活動もミニマムを抜け、今後は少しづつ活発になることが予想されています。2025年頃がピークの様子です。大きなアンテナを建てることは難しいかもしれませんが、今はFT8等を使った交信もありますし、QRPでも交信のチャンスは広がりますよね。アマチュア無線はQRTして数十年経ってしまっていますが、そろそろHF帯へのカンバックも検討したいと考えています。


https://www.swpc.noaa.gov/products/solar-cycle-progression/ より

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