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Monday, January 3, 2022

昨年11月の東北海道中波DXペディションにおける北米東海岸中波局WBZの受信報告

ここしばらくの間、本業がとても忙しくなってしまい、ブログのアップデートが出来ずじまいでした。昨年11月20~23日にシエスタさん、しんぞうさん等と東北海道のオホーツク沿岸で中波DXペディションを実施しました。北米方面の伝搬コンディションは必ずしも良いとは言えないものでしたが、11月20日(土)16時~17時にかけて北米東海岸マサチューセッツ州ボストンのWBZ(1030kHz 50kW)の受信をすることができましたので、紹介させていただきます。

WBZの受信は2018年の同時期の受信に引き続き、私にとっては2度めの受信となりました。北東方向に仮設した450m長のビバレージアンテナの効果もあってかなり長時間の間、フェージングを伴いながらも良好に受信することが出来ました。北米東海岸中波局の受信はとても難しく、その受信チャンスも中々巡って来ないため、今回の受信は大変嬉しいものでした。

DXペディション中の一コマ(窓で赤く点灯しているのは時刻同期用GPSアンテナ)

同日、私もメンバーになっている戸塚DXersサークルの有志の皆さんが岩手三陸沿岸部で中波DXペディションを実施しており、そこでも、40m長のTDDF(D-Kaz)アンテナによりWBZを受信に成功しました。お互いにLINEのチャットで連絡を取り合いながらのWBZ受信はとてもエキサイティングなものでした。

11月20日の16時における伝搬ルートの日照状況は以下のとおりです。東北海道沿岸部はグレーラインに入ったところ、そして岩手三陸沿岸部はグレーラインに入る直前の状態です。いわゆる一次伝搬(に近い)と呼ばれる状況です。どちらも、電離層の最終反射点(夜間の部分)であるコントロールポイントはそれぞれの受信点から伝搬路前方に位置しているため、受信地点が夜間ではなくとも電離層反射波が到来できる状況にはあったと考えられます。


11月20日のAEindex速報値は次のグラフの通りです。日本時間16時はUniversatl Time (UT)で7時となります。2018年の時よりも若干線が太いですが、暴れている様子はありません。北極圏のオーロラ帯は静穏だった様子が伺えます。(※AEindexは強いオーロラが出ると盛大にグラフが暴れます。北米東海岸中波局が日本で受信された時間帯のAEindexは、私が調べた限りでは全てグラフはほぼ直線に近い状況(静穏)であったことがわかっています。)

(http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/ae_realtime/202111/index_20211120-j.html)

まずは16時の正時に聞けたWBZのIDが出る様子はこちらの動画になります。IDは”WBZ Boston WXKS FM - HD2, Medford and Iheart radio station. Now, more than ever, it matters where you get the news, (WBZ News Radio)". と出ています。カッコ内は、フェーディングで弱くなってしまい微かに空耳レベルで聞こえている部分です。


参考までに、インターネットストリーミングで得られたWBZの同IDの音声も取り上げておきます。当然こちらはフェージングも無くクリアです。両者の比較から先の動画でお聞かせした受信音が紛れもなくWBZのものであることははっきりわかるかと思います。

WBZのID部分(インターネットストリーミング)

次に、東北海道沿岸部での受信音と、岩手三陸沿岸部での受信音の比較をしてみたいと思います。まずは、TDXCメンバーのシンさんが、Youtubeにあげてくださっている岩手三陸沿岸部での受信音です。40m長のTDDF(D-Kaz)アンテナでの受信となります。

岩手三陸沿岸部での受信音(ANT: 40m TDDF)

男性のトークがサイドからの混信を受けながらも長時間聞こえていることがわかります。
混信が強いものの、良く聞くと開始35秒で”WBZ Boston News Radio"とアナウンスが出ていることがわかります。また開始1分30秒でもWBZ..と聞こえています。この言葉が取れてただけでも、WBZの受信であると断言してもいいと思いますが、ただいかんせん信号が弱いこと、さらには混信が激しいことから、男性トークが弱くなっているところは本当にWBZなのか?という疑問もわくかもしれません。これについては、検証結果を後ほど紹介します。

次に、東北海道沿岸部でのほぼ同時間帯の受信音です。両音声の同期はほぼ取れています。(若干の時間のズレが両男性トークが同じものであるかどうかの検証に有効になります)

東北海道沿岸部での受信音(ANT:450m ビバレージ)

こちらの受信音でも、開始35秒で”WBZ Boston News Radio"とアナウンスが出ていることがわかります。また開始1分30秒でもWBZ..と聞こえています。岩手三陸沿岸での受信音と比較して、こちらはかなりクリアな受信音です。同周波数1030kHzには、通常はワイオミング州のKTWOがおり、フェージングにより、そちらと途中入れ替わることも想定しなければならないのですが、この男性トーク及び、途中入るローカルコマーシャルを聞く限りは、この時間帯はWBZが連続して聞こえていたと判断しても良いと思います(ローカルコマーシャルについては別途聞き取りをおこなってみます)。また、受信ロケーションの差もあったのかもしれませんが、この受信状況の差は、受信アンテナによるものが支配的だったに違いないと私は考えています。

450mビバレージアンテナと40mTDDF(D-Kaz)アンテナの指向性パターンを比較します。
設定周波数は1MHzです。偏波は垂直偏波としています。赤線が450mビバレージアンテナ、青線が40mTDDF(D-Kaz)アンテナとなります。450mビバレージアンテナのほうが指向性が40mTDDF(D-Kaz)アンテナと比較して相当にシャープであることがわかります。

ビームパターンの違い

次にこらら2つのアンテナの受信利得を比較します。圧倒的に450mビバレージアンテナのほうがTDDF(D-Kaz)アンテナより26dBも利得が高いことがわかります。(※アンテナ利得はどちらもマイナスの値であることに注意。棒グラフの長さが短い方が利得が高い。)これら2つのアンテナの利得差はSメーター目盛り換算で4つから5つくらいの違いとなります。中波DXの微弱局の受信においてこの差は相当に効いてくるはずです。

アンテナ利得の違い

ほぼ完全なWBZのIDが確認できた東北海道沿岸部の受信音ですが、さらには16時9分36秒過ぎから聞こえてきたローカルコマーシャルを精聴してみます。私の個人的な感覚では、西海岸の英語とは違う雰囲気を感じます(なんだか早口ですよね)。以下の動画は、ペルセウスの復調帯域の調整とPBTにて隣接チャンネルのカブりを除去したものです。


ローカルコマーシャルを精聴すれば、同コマーシャルがWBZからのものであるかの判別に役立ちます。なんだか、家のカーペットについて話をしているようです。このコマーシャル中、(978)263-2302(twenty-three-O-two)の番号が聞き取れました。早速インターネットで検索です。すると、このサイトがヒットしました。予想通りこの番号は、マサチューセッツ州内のもので、カーペットを販売している会社のもののようです。またオーナーはJoe Paolini氏となっています。確かに、コマーシャル冒頭でMy name is Joe Paolini..と言っていますね。さらにこのサイトからたどると、Post Road Carpet One という会社のホームページにたどりつきました。コマーシャル中、頻繁にこの言葉は出てきます。


耳に痛いノイズが頻繁に入るし、私な英語ネイティブではないので、全部はとても私には聞き取れないのですが、推定含めて聞き取りをおこなってみました。以下がその結果です。聞き取れなかった部分は、ニューヨーク在住のアメリカ人の友人に追記・修正をお願いしました。Demitiri-san Thank you very much!

My name is Joe Paolini. My family has owned Post Road Carpet One in Acton for over 44 years.
When you walk in our  18,000 square foot show room.  
We will help you find the right  flooring to make your home of reflective of your personal style.  
Hard wood, (      )carpeting , aria rug, luxury vinyl tile, Hunter Douglas blinds, and much much more.
Mention you heard this ad on WBZ and you'll be receiving additional 10% off material. 
We have it all. Come and visit us at postroadcarpetoneofacton.com. 
Or give us a call at (978)263-2302(twenty-three-O-two). 
Post Road Carpet (      )you made a right decision. 
Post Road Carpet made truly in Acton. More than just a great (           ) carpeting,
It's the great design center.
Post Road Carpet is COVID confinement (or compliant).

黄色の下線部注目ですこのWBZのコマーシャルを聞いたといえば、10%オフで商品を購入できるって言っています。このコマーシャルはWBZで流れていたと考えて間違いありません。最後の、”Post Road Carpet (One), COVID confinement.”はこのコロナ禍の中の特徴的なフレーズで、ポストロードカーペットワンは、コロナ対策(封じ込め)を行っています。という感じの意味なのでしょう。こういう聞き取りはインターネットでの検索も含めてとても楽しいですね。

最後になりますが、岩手三陸沿岸部での受信音と東北海道沿岸部での受信音をほぼ時刻同期をとった状況で同時に再生してみます。具体的には、ステレオ録音とし右(R)チャンネルには岩手三陸沿岸部での受信音、左(L)チャンネルには東北海道沿岸部での受信音を収録しています。録音・再生ツールにはAudacityを利用し、途中、マウスを使って再生チャンネルを左チャンネル単独、右チャンネル単独に固定することを数回繰り返してみます。ヘッドフォンを使って聴いていただくとはっきりとわかりますが、ステレオ状態で聴いた時には、男性トークにエコーがかかったように聞こえるはずです。これは収録時に完璧に時刻同期が取れておらずわずかに時間差がついた状態で録音されており、さらには両チャンネルの男性トークが同じものであることを示しています。つまり、このことからも、岩手三陸沿岸部で受信されたこの男性トークはWBZからのものであると断定できます。



大自然の中でのMW DXペディションは、都会の喧騒(盛大な外来ノイズ)から遠く離れて、シーゲインをフルに得られる環境で受信ができること、また空気の美味しさ、自然の美しさを満喫でき、非日常を体感できるので、とても気に入っています。まあ重量物となるアンテナや受信機の持ち運び、さらには深夜、早朝まで及ぶワッチは大変体力を消耗し、またポケットマネーも結構使うことになりますが、それだけをやる価値は十分にあると思っています。ぜひまた行きたい!

2 comments:

GuidoS said...

Great story. Congratulations Fumiaki-San !

Fumiaki MINEMATSU said...

Thank you for your comment GuidoS san!
We were really excited about this reception!