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Wednesday, February 6, 2019

SONY CRF-1という受信機

 SONY CRF-1という受信機は、1980年代に、SONYが唯一出した通信型受信機だったと記憶しています。値段は当時の価格で248000円だったはず。中学生の自分には手が出るはずもなく、当時羨望のまなざしでパンフレットを眺めていました。当時販売されていた月刊短波誌の受信機性能評価でもJRCのNRD515と互角の評価を得ていたはずです。確か中波DX界でもなかなかの性能を発揮したとも聞いています。

 日本国内ではCRF-1の中古機を殆ど入手することは不可能ですが、ebay(アメリカ)では、時折、同一業者がストックしているCRF-1が売りに出されています。今から3年前、福島県に単身赴任中、家族に黙って、当時ヤフオクに出ていた同受信機を入手しました。一緒に添付されていた回路図資料のCD-R等を見たところ、どうやらこれもebay経由で入手されたもののようでした。さらに内部の照明もLED(白色)に交換されているようでした(オリジナルは深い緑色だったと思います)。

SONY CRF-1(正面)

 さて、このCRF-1、メインチューニングノブの裏についているゴム(Oリングのような感じのもの)で同調バリコンを回転させているのですが、ものすごく残念なことに、このゴムが経年劣化で溶けちゃうんですよね。そのため、私が入手したものも、このゴムリングが時折スリップしてチューニングができない状態に陥ります。これは、このゴムリングを同寸法のものと交換することで、復元できる可能性があるのですが、さらに残念なのが、このCRF-1に使われている同調回路の中にあるLSI(型名は忘れました。)は、SONY製のLSIで、既にデッドストックになっており、現在は入手が全くできないようです。すなわち、このLSIが昇天すると、CRF-1はお陀仏なのです。

 こんなCRF-1ですが、特筆すべきは音の良さです。フィルターをWIDEにして受信するとプロ用のモニター機じゃないのか?と思う程音が良いですね。またプリセレクターの効きもかなり良いと思います。「SONYのラジオ技術、ここに極まれり。」といった感じです。そして、この顔つき。実にカッコいいと思います。購入後、ネット上をくまなく探して、メインテナンス用のサービスマニュアル等集めたのですが、これ、分解して中の臓物を取り出すだけでも結構大変で、片手間に修理するのは殆ど無理です。自分の本業が多忙なことや、最近の私のDXingは、SDRを使ったペディションとなってしまっているので、東京に戻ってから既に3年が経ちますがこのCRF-1は箱の中に眠ったままになっています。また、長期間、電源を入れていないので、今も動くかどうかが気になっています。(ああ実にもったいない!)

ONY CRF-1(別の角度から)

CRF-1のサービスマニュアル(英文)

 CRF-1の話題をもう一つ。CRF-1正面パネルの右下に、小さなエンブレムが彫りこまれています。このエンブレム、当時SONYの技術者やデザイナーがどんな思いをこのエンブレムに託したのかとても気になっています。ゼロの文字?に貫く一本の矢にサインウェーブ。実に意味深ではないですか!

CRF-1の正面パネル右下に彫りこんであるエンブレム
このCRF-1を設計されたSONYの技術者の方に、当時どんな設計思想でこの受信機を設計されたのか伺いたい気持ちもあったりします。座談会とか実現できないでしょうか。

3 comments:

mkmk said...

初めてコメントさせていただきます。
CRF-1ですが、私もebayでヨーロッパのユーザーから去年末に入手しました。

正面パネルの右下のエンブレムは、残念ながら付いてません。
このブログを拝見するまでエンブレムについては気づきませんでした。

CRF-1は評判が高い受信機だったのをずっと覚えていて、
いつかは触ってみたいなあと思っていました。
偶然、中古価格が下がってきたのを見て、つい購入してしまいました。
それでもプレミアム価格ですが。。。

当方のCRF-1は、最近、周波数表示部の最下位桁の表示がおかしくなってきて、
さらにSメーターがS-7までしか触れなくなりました。
やはり年代物なのでメンテが必要でしょうか。
ネットで無線機などを有償修理をされている方々に出してみようか少し悩んでいます。。。

本当にWIDEフィルター時の音は良いですね。
HiFiといった感じです。
今まで触った各種受信機の中でトップクラスだと思います。

Fumiaki MINEMATSU said...

mkmk様、コメントありがとうございました。確かにCRF-1のWIDEフィルターの音は特筆するものがあると思います。
CRF-1は内部の周波数カウンター機能を持つLSIがSONYの純正のものだったと思います。これが故障してしまうと厳しい状況になってしまいます。Sメーターについては、メンテナンスで戻る可能性があります。修理業者をかつて探したことがありましたが、私は残念ながら見つけることができておりません。また内部のゴムベルトの劣化にはぜひ注意されてください。ダイヤルを回しても周波数が変化しなくなった場合は、ゴムが溶けて切れてしまった可能性が高いです。今後とも情報交換よろしくお願いいたします。Good DX!

Anonymous said...

貴重なラジオと文面から読み取れました。その後、ゴムリング劣化やその後のアップデートはいかがでございましょうか?
私は同時期に販売されていたICF-2001Dをブラッシュアップしながら使っています。