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Monday, May 27, 2019

I switched on my old RF instruments for the first time in 3 years.

 3年ぶりに、RF測定器達に電源を投入してみた


  RF instruments are needed to make a precise RF combiner and preamplifier for SAL antenna.  I picked up my old RF instruments from cardboard boxes in my room and switched on them for the first time in 3 years.  They are all second-hand instruments that I bought without the permission of my wife (hi-hi).  They worked again very well.  I told my old RF mates,

Kept you waiting huh?

 SALアンテナの製作のためには、精度の良いコンバイナーや、プリアンプを自作する必要があります。となると測定器は必須。単身赴任時代にカミさんに内緒で買いためていた中古の測定器達を引っ張りだし、電源を投入してみました。無事に動いている様子。

「待たせたな相棒!」


Fig.1 Tektronix 2455B 

Fig.2 KIKUSUI KSG 4300
I let them do heat running and stick around in my room tonight. 
とりあえず今夜はヒートランをして、彼らにはくつろいでもらおう。

  My current probes are cheap and doubtful Chinese probes so I'm considering of buying good ones. And I might have to ask some dealers for adjustment and calibration for serious measurements. 

オシロスコープ用のプローブは中国製の怪しいものしかないので、少しいい奴を買おうと思う。本格的にやるなら、一度調整・校正にも出さないといけないかもしれないですね。

Sunday, May 26, 2019

Mini DXpedtion with two 19-year-old beginners in Chigasaki park.

茅ヶ崎公園で若手と一緒にミニDXペディション

  We, 7 members of Totsuka DXer's Circle conducted a mini DXpedition with two 19-year-old beginners in Chigasaki park on May 26.  It was sweltering, and the temperature seemed to be around 30-degree centigrade. We enjoyed catching FM radio and citizen band communication by a sporadic E propagation and of course, MW DXing.

 戸塚DXer's サークルの7名が茅ヶ崎公園で行ったミニDXペディションに二人の若手が参加してくれました。とても暑い日でしたが、Eスポ伝搬によるFM局の受信や、CB無線の交信、そしてもちろんMW DXも楽しみました。

Fig.1 Some of the members enjoyed citizen band communication by a sporadic E propagation.

 We were happy to meet them. We are satisfied with their flesh ”Wow!!" for every DXing from MW to VHF band.

 若い人のDX受信に対するフレッシュな驚きの声に我々も満足したと同時に、彼らに会えて良かったと思った次第。

Fig.2 Two young beginners joined our mini DXpedition.

Fig.3 TDDF (D-Kaz)antenna pointing to the south.

A sporadic E propagation between Tokyo and Okinawa was really stable, and we could hear Ryukyu Hoso FM (RBCi radio) on 92.1MHz and AFN-Okinawa on 89.1MHz etc. We really enjoyed listening to them. 

 沖縄方面のEスポ伝搬が大変良好で、琉球放送FM(RBCiラジオ)92.1MHz、AFN-沖縄89.1MHzが長時間良好に聞こえていました。持参したRADIWOWのR-108のホイップアンテナだけで良好に受信することが出来ました。

Fig.4 Sporadic E propagation between Okinawa and Chigasaki

Received AFN-Okinawa 89.1MHz with a whip antenna of R-108
(You can hear " AFN. Be eagle " at the end of this video.)

  Finally, we concluded this mini DX-pedition by MW-DXing. The sunset time was around 19:00. So we started concentrating on listening to each SDR from 18:00. All regular MW DX stations in Guam island came up first, and we could hear Australian private MW station 4RO on 990kHz very well after the signal level of NHK1(Kochi) on the same frequency slowly diminished with fading. We could hear 4RO's ID very clearly. You can hear " 9-90 4RO The talk of central Queensland". in the video below.

 さて、最後はMW DXですが、流石に日の入りが19時近いため、まともに聞きこんだのは18時過ぎてからでした。グアムの常連局が聞こえ始めると、しばらくして990kHzオーストラリア中波局の4RO(50kW)がNHK1(高知)が弱くなったと同時に強くなり、IDを押さえることができました。 "9-90 4RO The talk of central Queensland" と出ています。


4RO on 990kHz
(You can hear ”9-90 4RO The talk of central Queensland”.)


 19時過ぎに皆で手際良く撤収作業を終わらせた後、近くのファミレスで夕食を楽しみ、解散となりました。また是非やりたいですね。

Friday, May 17, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (7)

    中波DX用のSALアンテナの予備検討(7)

 本職が繁忙ゆえ、なかなかブログが更新できません。

 ループアンテナ電流を取り出すべくIV変換器の検討をしてきました。LTSpiceを使って、ある程度見込みがたったのですが、実際に実験をしようとすると、二つの給電点に個別にこのIV変換器を設置しなければなりません。電源の供給もバイアスティー等を検討しないといけなくなり、かなり面倒だなあと思うようになりました。そこでIV変換器による給電回路の検討はペンディングとして、予備検討としては、SALアンテナの動作をまず確認することが大切ですので、下記のテスト回路でSALアンテナを動作させてみて、様子を観察することとしました。(図面上のディレイラインの遅延量は同じになっていますが、実際には片方の遅延時間を増やします。→後述)

 低抵抗とインダクタンスの等価回路で表されるループアンテナをカレントトランスフォーマーで給電すると、RL回路のローパスフィルタになってしまうため、高域が低下します。ただし、ループアンテナの誘起電圧は周波数に比例します。総合特性は、コンバイナー出力で、遅延量ゼロの時、周波数500[kHz]で 入力に対して電圧比-6dB、周波数2[MHz]で-16dBという結果になりました。そこでコンバイナー出力に+16dBの非反転アンプを追加しました。出力周波数特性は周波数500[kHz]に対して周波数2[MHz]の方が約5dB程高くなっています。


 ディレイラインとしては、5D-2Vを23.7m程片方のデルタループアンテナ側に追加します。3D-2Vのほうが取り扱い安いのですが、ディレイラインによるロスが気になるので5D-2Vにしました。5D-2Vの波長短縮率は67%ですので、この長さで約38.9[nsec]の遅延時間が得られます。これは、周波数1[MHz]で約14°の位相差に相当します。

 SALアンテナの肝は、位相合成の部分です。また二基のアンテナは同一でなければならないため、同寸法できちんと設置しなければなりません。またコンバイナーも良好に動作するものでなければなりません(続く)。


Fig.1 SALアンテナの試験回路

Tuesday, May 7, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (6)

    中波DX用のSALアンテナの予備検討(6)

  SALアンテナは電流トランスを用いて、デルタループアンテナに流れているアンテナ電流をピックアップする方法を採っています。SALアンテナ開発者のMark Baumanさんが発表されている文献によれば、Fig.1に示すようなフェライトビーズを用いた電流トランスを製作されています。

Fig.1 電流トランスを使ったSALアンテナの給電部
(QST誌 Oct.2012の掲載記事から引用)

 この文献によれば、インダクタンスは70[μH]としているとのことです。ビーズのインダクタンスは30%程誤差があるために、フェライトビーズは選別して使った方が良いと書かれています。どうやら、アンテナフィーダーと、給電のためのケーブルはそれぞれ1本ずつフェライトビーズでできた筒を通っているため、巻き線比は1:1となっているようです。Mark Baumanさんが試作された、給電部の様子をFig.2に示します。なるほど、こうすることで給電部の移動が簡単にできますね。

説Fig.2 電流トランスを利用した給電部の様子
(QST誌 Oct.2012の掲載記事から引用)

 電流トランスのインダクタンス70[μH]の値は果たして適当かどうかですが、トランスにまつわる必要インダクタンスの検討をした文献を読むと、過去の記事で紹介したとおり接続されるインピーダンスの値の4倍程度になるようなインダクタンスが推奨されているようです。70[μH]は先に紹介した、アンテナの持つインダクタンス、23[μH]」の約3倍ですので、もう少し大きくして100[μH]程度にしても良さそうです。ただ、私が求めたインダクタンスの値はあくまでもシミュレーションで得た値なので、真値については屋外実験で一応確認したいと思っています。

 また、インターネット上で拝見できる、Mark Baumanさんの発表されている文献については全て目を通しているのですが、給電点以降の遅延線入力でのインピーダンスと遅延線の特性インピーダンスで満たすべき関係(遅延線入力前のインピーダンスは、遅延線の特性インピーダンスより小さくする必要がある)については触れられているものの、実際のSALアンテナでは、希望周波数帯域内で必要な性能を得るためにどのようにしてこのインピーダンス関係を保っているのかについては触れられていません。SALアンテナはMark Baumanさんにより、特許が取得され、Array Solutionsというメーカーから販売されていますが、このアンテナのマニュアルには、次のように書かれています。
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Challenges remained, however before a commercial array could be made available. Designing the amplifier chain was especially difficult because of competing constraints. These included the need for closely matched input impedance over a wide frequency range (to ensure accurate timing), very low noise (because of negative forward gain), good gain (to overcome signal cancellation), and acceptable linearity. Finally, though, after a period of extensive testing and improvement, the Shared Apex Loop™ array is ready for production.

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点線内は、Shared Apex Loop ManualのP.2 から抜粋

とありますので、インピーダンス整合については何等かの独自の工夫が施されていると推察されます。インダクタンスを持つループアンテナについて、受動回路オンリーで広帯域のインピーダンスマッチングが実現できるのか、私は良くわかっていませんがきっと隠れたノウハウがあるのでしょう。ここに記載されているように、正確な遅延量が設定できるようになることが肝のようです。

 今回はここまでです。疲れました(;'∀')。 高速オペアンプを用いたIV変換回路は一応、このゴールデンウィーク中にLTSpice上でシミュレーションしているのですが、NF解析がまだ終わっておりませんので、もう少しまとめてから記事をアップしたいと思います。(続く)

Monday, May 6, 2019

USB GPSが格安でAmazonに出ています ペディションでのPCの時刻校正にいかが?


 友人から教えてもらいました。HiLetgo® VK172 G-MOUSE USB GPS/GLONASS USB VK-172 GPSレシーバ―の平行輸入品がアマゾンで販売されています。価格は1090円。友人は、USB延長ケーブルで窓側に置いてパソコンの時計の校正に使っているとのこと。もちろん、位置情報も高精度に掴めます。準天頂GPS衛星みちびきにも対応しているようです。中波DXペディション時に、持ちこんだノートPCの時計の校正を忘れてSDRファイルに記録されているタイムスタンプが正時とずれてしまい、ID確認の時にちょっと面倒な感じがしていたのですが、このガジェットを使えば、接続後2分程度で 時刻誤差が200msec内に保たれるようです。(参考URL:情報通信技術コンサルタント くわ)インターネットが使える環境なら時刻サーバーへの同期も可能ですが、ペディション場所ではインターネットが繋がらないところも結構あるので。ペディションの場所なら、上空にはほぼ障害物はないでしょうから、確実にGPSは捕まりますよね。1000円の投資価値は十分にありだと思っています。


Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (5)


中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(5)

  今回から、SALアンテナの給電回路の検討に入りますが、まず原理的にループアンテナが電磁波を感じた時に、どのような電圧、電流が発生するのかを検討します。ループアンテナが電波を受信すると、その電磁波の磁界成分により、ループアンテナ内に磁界成分の大きさに比例した誘起電圧が発生し、電流が流れます。その様子を次の図に示します。

Fig.1 デルタループアンテナに誘起電圧と電流が発生する様子

 ある電界強度の中に置かれたループアンテナにどのような電圧が発生するかについては、いくつかの文献(例えばARRLのアンテナハンドブック等)に次の様に記載されています。



 この式では、電界強度Eがパラメーターとして入っていますが、遠方界では、電磁波の電界強度Eと磁界強度Hは、E=377・H [Ω]の関係が成立していますので、どちらを用いても結果は同じです。また、この計算式は次のように簡略化できます。


 この結果から、ループアンテナに誘起する電圧は周波数に比例して大きくなります(一定にならない)が、ループアンテナに流れる電流は、ループアンテナの開口面積、電界強度、インダクタンスの値が一定であれば、一定値になることがことがわかります。

 ループアンテナに誘起する電圧と電流を中波帯域で計算結果の一例を示します。

Fig.2 ループアンテナ誘起電圧と電流の計算結果の一例

 この結果からわかるとおり、誘起電圧を取り出そうとすると、低い周波数程、取り出せる電圧の大きさが小さくなってしまいます。しかし、電流を取り出すことができれば、周波数に関係なく一定レベルの電流を取り出すことができます。SALアンテナ開発者のMark Baumanさんは、電流トランスを用いてこのアンテナ電流を取り出しています。私は、取り出した電流を、性能の良いローノイズオペアンプを用いたIV変換器により電圧に変換することを現在検討しています。オペアンプを利用できれば、初段のプリアンプとして使えるだけでなく、その出力インピーダンスを例えば50[Ω]一定にすることは容易にできますので、後段の遅延線、コンバイナーの接続も容易におこなえるメリットがあると考えているからです。ただし、どのくらいローノイズなものが作れるかは、データシートを用いた机上検討、試作による実験・テストが必要になりますね。(アナログ回路だけに)

(注意)ループアンテナの出力に寄生する浮遊容量については、その値の見込みが立っておらず、とりあえず無視しています。エイヤっで決めるとするなら感覚的にどのくらい見込めばいいんでしょうか?ご存知の方是非教えてください。

 今回はここまでです。IV変換器の設計までには至りませんでした(;'∀') 次回こそは、電流トランスの検討とIV変換器の検討をしてみたいと思います。

Saturday, May 4, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (4)

中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(4)

 シェアードエイペックスループ(SAL)アンテナの基本形は、2基のデルタループの片方の受信信号の位相を変化させて合成することで、特定方向に指向性を形成するアンテナであることは前回紹介したとおりです。ここでは、デルタループアンテナの給電(受信)方法について検討してみました。既にご存知の方にとってはつまらない記事になるかもしれませんが、自分の検討記録として残しておきたくブログに書くことにします。ディスカッションはいつでも歓迎いたします。

 4NEC2を用いてデルタループアンテナの出力インピーダンス特性を求めてみました。計算時は大地グランド(アベレージ)を考慮しています。SALアンテナは、2基のデルタループアンテナを直線状に並べることになるため、デルタループアンテナ単基の場合と、2基のデルタループアンテナを直線状に並べて場合の片方のデルタループアンテナの出力インピーダンス特性を調べてみました。 単基のアンテナの寸法は、底辺5[m] 高さ4.7[m]、底辺の地上高さは0.3[m]です。またアンテナワイヤーの素材は銅線(半径0.2㎜)としています。

Fig.1 単基の場合と片給電の場合


Fig.2 出力インピーダンス特性

 このグラフから、シミュレーション上は、単基の場合も、2基直線上に並べた場合も、給電点の出力インピーダンス特性はほとんど変わらないことがわかりました。隣接するデルタループアンテナの影響はほとんどなさそうです。また、中波の波長に比べて、単基のデルタループアンテナのループ長は、約17[m]程なので、微小ループアンテナの範疇に入ってくることとなります。グラフを見ると、インピーダンスマッチングを検討する時に要チェックとなる、放射抵抗は1[Ω]未満であることがわかります。それに比べて、リアクタンス成分はかなりあることがわかります。またリアクタンス成分は直線的に変化していることから、このリアクタンス成分はインダクタンス(コイル)とみなしても良さそうです。

 実際にシミュレーション結果から得られたリアクタンス値からインダクタンスを求めてみると、次のグラフのようになりました。シミュレーションでは、周波数が高くなるにつれて、ごくわずかに値は上昇していますが、中波帯域ではその差は0.9[μH]程度でしたので、ここではその平均値である23[μH]を採用することとします。

Fig.3 インダクタンスを計算してみる

 以上の検討から、中波帯のデルタループアンテナは、等価回路的には放射抵抗が1Ω未満、インダクタンスが23[μH]の次の図に示すような、直列接続回路とみなすことができると考えられます。(※ループアンテナの場合、不平衡出力ではなく、平衡出力だという議論はありますが、デルタループアンテナの給電点の左右のワイヤー長は均一でもなく、対象形でないことから、不平衡出力として取り扱うことにします。)

Fig.4 デルタループアンテナの等価回路


 より精密な検討では、アンテナ電線の表皮効果等も考慮に入れる必要はあるのでしょうが、ここでは無視します。また放射抵抗も1[Ω」未満ととても小さいため、無視することとすると、このデルタループアンテナの等価回路はさらにシンプルとなり、次のようになります。

Fig.5 簡素化したデルタループアンテナの等価回路

 等価回路が求まったので、次回は給電回路について検討します。デルタループアンテナに流れる電流を取り出して、IV変換器により電圧に変換することを考えています。(続く)


Thursday, May 2, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (3)


中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(3)

 ゴールデンウィークですが、天候があまりよくないですね。雨は降るし、寒いしで。この数日間は自宅に籠ってLTSpiceと4NEC2を使っていろいろ遊んでいました。遊びの目的は、シェアードエイペックスループアンテナの調査と解析なんですが、わからないことも多く、一人悶々としています。(仲間が欲しいww)ここでは、調査・解析を通じてわかったことをまとめてみたいと思います。ただ大きな勘違いやミスが潜んでいるかもしれませんので、批判的に読んでいただければ幸いです。さらに、もし間違いが見つかりましたら「優しく」ご指摘いただけると嬉しいです。

 シェアードエイペックスループ(SAL)とアンテナの基本形は、1本の共通マストを使って2基のデルタループアンテナを設置し、この2基のデルタループアンテナ間の位相を変えて合成し、特定方向に指向性を生み出すものです。アレーアンテナの一種だと考えられます。

  このSALアンテナの生みの親である、Mark Bauman, KB7GFさんのプレゼン資料には、さらにこのSALアンテナの構造が良くわかる図が描かれています。

A novel receiving antenna Shared Apex Loop by Mark Bauman, KB7GF(クリック)


Fig.1 SALアンテナの基本形

 給電点の位置と位相を変化させ、さらにこの基本形のアンテナを複数組み合わせることでRDF(Receiving Directivity Factor)の優れた受信アンテナを構築することができるとされています。RDFは、指向方向の前方最大利得を全方向の利得の平均値で割ったものです。デシベル的に言えば、指向方向の前方最大利得から全方向の利得の平均値を引いたものになります。つまり目的方向ではない方向からの雑音を拾わないアンテナ程、このRDFは大きな値になると言えます。

 例えば、このSALアンテナの基本形の指向性パターンは、上の図で示す位置に給電点を置いた場合、4NEC2によるシミュレーション結果は例えば次のようになります。(一つのデルタループの底辺の長さを5m、高さ、4.7m、底辺の地上高さ、0.3m、FB比を最大にする位相差に設定した場合。周波数は1「[MHz])
Fig.2 SALアンテナ単基のアンテナパターン例

 同サイズのデルタフラグアンテナで終端抵抗を825Ωとした時のアンテナパターン等は以下のようになります。
Fig.3 同サイズのデルタフラグアンテナのアンテナパターン例

両者を比較すると、アンテナの全体の大きさは同サイズにも関わらず、SALアンテナの方が、アンテナ利得が17dBも高く、さらにRDFも約0.5dB程良いことがわかります。また、最大利得が得られる仰角はどちらも29度ですが、その仰角におけるFB比もSALアンテナの方がデルタフラグアンテナよりも良い値となっています。SALアンテナの方がRDFが大きい原因としては、水平指向性パターンの違いを挙げることができると思います。一見両者は同じように見えますが、次の図のように両者の水平指向性パターンを切り替えながら眺めると、SALアンテナの方が、膨らみが少ないパターンになっていることがわかります。


 通常の中波ラジオ放送の電界強度と比較して極端に低い中波DX局を捕まえるには、なるべくSN比が良い条件(周囲の雑音をなるべく拾わない)で受信できることが大切です。そういう意味でRDFがなるべく大きなアンテナを使うことは中波DX成功のキーポイントであると私は考えています。もちろん、海に近く、シーゲイン(海利得)が稼げて、かつ人里離れた人口ノイズが少ないロケーションに行くことが第一優先事項ではありますが。

 給電点の位置と位相差を変えることにより、前方最大利得とFB比は犠牲になるものの、デルタフラグアンテナの前方最大利得よりも高い状態で、RDFをさらに向上させることは可能です。RDFの向上については、複数のSALアンテナを組み合わせることでも可能であるため、この検討はまた別の機会におこなうこととし、この次はSALアンテナの給電方法について検討していくこととします。給電方法は、D-KAZ(TDDF)アンテナとは違ったものになりそうです。(続く)