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Monday, May 6, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (5)


中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(5)

  今回から、SALアンテナの給電回路の検討に入りますが、まず原理的にループアンテナが電磁波を感じた時に、どのような電圧、電流が発生するのかを検討します。ループアンテナが電波を受信すると、その電磁波の磁界成分により、ループアンテナ内に磁界成分の大きさに比例した誘起電圧が発生し、電流が流れます。その様子を次の図に示します。

Fig.1 デルタループアンテナに誘起電圧と電流が発生する様子

 ある電界強度の中に置かれたループアンテナにどのような電圧が発生するかについては、いくつかの文献(例えばARRLのアンテナハンドブック等)に次の様に記載されています。



 この式では、電界強度Eがパラメーターとして入っていますが、遠方界では、電磁波の電界強度Eと磁界強度Hは、E=377・H [Ω]の関係が成立していますので、どちらを用いても結果は同じです。また、この計算式は次のように簡略化できます。


 この結果から、ループアンテナに誘起する電圧は周波数に比例して大きくなります(一定にならない)が、ループアンテナに流れる電流は、ループアンテナの開口面積、電界強度、インダクタンスの値が一定であれば、一定値になることがことがわかります。

 ループアンテナに誘起する電圧と電流を中波帯域で計算結果の一例を示します。

Fig.2 ループアンテナ誘起電圧と電流の計算結果の一例

 この結果からわかるとおり、誘起電圧を取り出そうとすると、低い周波数程、取り出せる電圧の大きさが小さくなってしまいます。しかし、電流を取り出すことができれば、周波数に関係なく一定レベルの電流を取り出すことができます。SALアンテナ開発者のMark Baumanさんは、電流トランスを用いてこのアンテナ電流を取り出しています。私は、取り出した電流を、性能の良いローノイズオペアンプを用いたIV変換器により電圧に変換することを現在検討しています。オペアンプを利用できれば、初段のプリアンプとして使えるだけでなく、その出力インピーダンスを例えば50[Ω]一定にすることは容易にできますので、後段の遅延線、コンバイナーの接続も容易におこなえるメリットがあると考えているからです。ただし、どのくらいローノイズなものが作れるかは、データシートを用いた机上検討、試作による実験・テストが必要になりますね。(アナログ回路だけに)

(注意)ループアンテナの出力に寄生する浮遊容量については、その値の見込みが立っておらず、とりあえず無視しています。エイヤっで決めるとするなら感覚的にどのくらい見込めばいいんでしょうか?ご存知の方是非教えてください。

 今回はここまでです。IV変換器の設計までには至りませんでした(;'∀') 次回こそは、電流トランスの検討とIV変換器の検討をしてみたいと思います。

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