SALアンテナは電流トランスを用いて、デルタループアンテナに流れているアンテナ電流をピックアップする方法を採っています。SALアンテナ開発者のMark Baumanさんが発表されている文献によれば、Fig.1に示すようなフェライトビーズを用いた電流トランスを製作されています。
Fig.1 電流トランスを使ったSALアンテナの給電部 (QST誌 Oct.2012の掲載記事から引用) |
この文献によれば、インダクタンスは70[μH]としているとのことです。ビーズのインダクタンスは30%程誤差があるために、フェライトビーズは選別して使った方が良いと書かれています。どうやら、アンテナフィーダーと、給電のためのケーブルはそれぞれ1本ずつフェライトビーズでできた筒を通っているため、巻き線比は1:1となっているようです。Mark Baumanさんが試作された、給電部の様子をFig.2に示します。なるほど、こうすることで給電部の移動が簡単にできますね。
説Fig.2 電流トランスを利用した給電部の様子 (QST誌 Oct.2012の掲載記事から引用) |
電流トランスのインダクタンス70[μH]の値は果たして適当かどうかですが、トランスにまつわる必要インダクタンスの検討をした文献を読むと、過去の記事で紹介したとおり、接続されるインピーダンスの値の4倍程度になるようなインダクタンスが推奨されているようです。70[μH]は先に紹介した、アンテナの持つインダクタンス、23[μH]」の約3倍ですので、もう少し大きくして100[μH]程度にしても良さそうです。ただ、私が求めたインダクタンスの値はあくまでもシミュレーションで得た値なので、真値については屋外実験で一応確認したいと思っています。
また、インターネット上で拝見できる、Mark Baumanさんの発表されている文献については全て目を通しているのですが、給電点以降の遅延線入力でのインピーダンスと遅延線の特性インピーダンスで満たすべき関係(遅延線入力前のインピーダンスは、遅延線の特性インピーダンスより小さくする必要がある)については触れられているものの、実際のSALアンテナでは、希望周波数帯域内で必要な性能を得るためにどのようにしてこのインピーダンス関係を保っているのかについては触れられていません。SALアンテナはMark Baumanさんにより、特許が取得され、Array Solutionsというメーカーから販売されていますが、このアンテナのマニュアルには、次のように書かれています。
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Challenges remained, however before a commercial array could be made available. Designing the amplifier chain was especially difficult because of competing constraints. These included the need for closely matched input impedance over a wide frequency range (to ensure accurate timing), very low noise (because of negative forward gain), good gain (to overcome signal cancellation), and acceptable linearity. Finally, though, after a period of extensive testing and improvement, the Shared Apex Loop™ array is ready for production.
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点線内は、Shared Apex Loop ManualのP.2 から抜粋
とありますので、インピーダンス整合については何等かの独自の工夫が施されていると推察されます。インダクタンスを持つループアンテナについて、受動回路オンリーで広帯域のインピーダンスマッチングが実現できるのか、私は良くわかっていませんがきっと隠れたノウハウがあるのでしょう。ここに記載されているように、正確な遅延量が設定できるようになることが肝のようです。
今回はここまでです。疲れました(;'∀')。 高速オペアンプを用いたIV変換回路は一応、このゴールデンウィーク中にLTSpice上でシミュレーションしているのですが、NF解析がまだ終わっておりませんので、もう少しまとめてから記事をアップしたいと思います。(続く)
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点線内は、Shared Apex Loop ManualのP.2 から抜粋
とありますので、インピーダンス整合については何等かの独自の工夫が施されていると推察されます。インダクタンスを持つループアンテナについて、受動回路オンリーで広帯域のインピーダンスマッチングが実現できるのか、私は良くわかっていませんがきっと隠れたノウハウがあるのでしょう。ここに記載されているように、正確な遅延量が設定できるようになることが肝のようです。
今回はここまでです。疲れました(;'∀')。 高速オペアンプを用いたIV変換回路は一応、このゴールデンウィーク中にLTSpice上でシミュレーションしているのですが、NF解析がまだ終わっておりませんので、もう少しまとめてから記事をアップしたいと思います。(続く)
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