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Saturday, May 4, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (4)

中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(4)

 シェアードエイペックスループ(SAL)アンテナの基本形は、2基のデルタループの片方の受信信号の位相を変化させて合成することで、特定方向に指向性を形成するアンテナであることは前回紹介したとおりです。ここでは、デルタループアンテナの給電(受信)方法について検討してみました。既にご存知の方にとってはつまらない記事になるかもしれませんが、自分の検討記録として残しておきたくブログに書くことにします。ディスカッションはいつでも歓迎いたします。

 4NEC2を用いてデルタループアンテナの出力インピーダンス特性を求めてみました。計算時は大地グランド(アベレージ)を考慮しています。SALアンテナは、2基のデルタループアンテナを直線状に並べることになるため、デルタループアンテナ単基の場合と、2基のデルタループアンテナを直線状に並べて場合の片方のデルタループアンテナの出力インピーダンス特性を調べてみました。 単基のアンテナの寸法は、底辺5[m] 高さ4.7[m]、底辺の地上高さは0.3[m]です。またアンテナワイヤーの素材は銅線(半径0.2㎜)としています。

Fig.1 単基の場合と片給電の場合


Fig.2 出力インピーダンス特性

 このグラフから、シミュレーション上は、単基の場合も、2基直線上に並べた場合も、給電点の出力インピーダンス特性はほとんど変わらないことがわかりました。隣接するデルタループアンテナの影響はほとんどなさそうです。また、中波の波長に比べて、単基のデルタループアンテナのループ長は、約17[m]程なので、微小ループアンテナの範疇に入ってくることとなります。グラフを見ると、インピーダンスマッチングを検討する時に要チェックとなる、放射抵抗は1[Ω]未満であることがわかります。それに比べて、リアクタンス成分はかなりあることがわかります。またリアクタンス成分は直線的に変化していることから、このリアクタンス成分はインダクタンス(コイル)とみなしても良さそうです。

 実際にシミュレーション結果から得られたリアクタンス値からインダクタンスを求めてみると、次のグラフのようになりました。シミュレーションでは、周波数が高くなるにつれて、ごくわずかに値は上昇していますが、中波帯域ではその差は0.9[μH]程度でしたので、ここではその平均値である23[μH]を採用することとします。

Fig.3 インダクタンスを計算してみる

 以上の検討から、中波帯のデルタループアンテナは、等価回路的には放射抵抗が1Ω未満、インダクタンスが23[μH]の次の図に示すような、直列接続回路とみなすことができると考えられます。(※ループアンテナの場合、不平衡出力ではなく、平衡出力だという議論はありますが、デルタループアンテナの給電点の左右のワイヤー長は均一でもなく、対象形でないことから、不平衡出力として取り扱うことにします。)

Fig.4 デルタループアンテナの等価回路


 より精密な検討では、アンテナ電線の表皮効果等も考慮に入れる必要はあるのでしょうが、ここでは無視します。また放射抵抗も1[Ω」未満ととても小さいため、無視することとすると、このデルタループアンテナの等価回路はさらにシンプルとなり、次のようになります。

Fig.5 簡素化したデルタループアンテナの等価回路

 等価回路が求まったので、次回は給電回路について検討します。デルタループアンテナに流れる電流を取り出して、IV変換器により電圧に変換することを考えています。(続く)


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