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Thursday, May 2, 2019

Preliminary study on Shared Apex Loop antenna for MW DXing (3)


中波DX用のシェアードエイペックスループアンテナの予備検討(3)

 ゴールデンウィークですが、天候があまりよくないですね。雨は降るし、寒いしで。この数日間は自宅に籠ってLTSpiceと4NEC2を使っていろいろ遊んでいました。遊びの目的は、シェアードエイペックスループアンテナの調査と解析なんですが、わからないことも多く、一人悶々としています。(仲間が欲しいww)ここでは、調査・解析を通じてわかったことをまとめてみたいと思います。ただ大きな勘違いやミスが潜んでいるかもしれませんので、批判的に読んでいただければ幸いです。さらに、もし間違いが見つかりましたら「優しく」ご指摘いただけると嬉しいです。

 シェアードエイペックスループ(SAL)とアンテナの基本形は、1本の共通マストを使って2基のデルタループアンテナを設置し、この2基のデルタループアンテナ間の位相を変えて合成し、特定方向に指向性を生み出すものです。アレーアンテナの一種だと考えられます。

  このSALアンテナの生みの親である、Mark Bauman, KB7GFさんのプレゼン資料には、さらにこのSALアンテナの構造が良くわかる図が描かれています。

A novel receiving antenna Shared Apex Loop by Mark Bauman, KB7GF(クリック)


Fig.1 SALアンテナの基本形

 給電点の位置と位相を変化させ、さらにこの基本形のアンテナを複数組み合わせることでRDF(Receiving Directivity Factor)の優れた受信アンテナを構築することができるとされています。RDFは、指向方向の前方最大利得を全方向の利得の平均値で割ったものです。デシベル的に言えば、指向方向の前方最大利得から全方向の利得の平均値を引いたものになります。つまり目的方向ではない方向からの雑音を拾わないアンテナ程、このRDFは大きな値になると言えます。

 例えば、このSALアンテナの基本形の指向性パターンは、上の図で示す位置に給電点を置いた場合、4NEC2によるシミュレーション結果は例えば次のようになります。(一つのデルタループの底辺の長さを5m、高さ、4.7m、底辺の地上高さ、0.3m、FB比を最大にする位相差に設定した場合。周波数は1「[MHz])
Fig.2 SALアンテナ単基のアンテナパターン例

 同サイズのデルタフラグアンテナで終端抵抗を825Ωとした時のアンテナパターン等は以下のようになります。
Fig.3 同サイズのデルタフラグアンテナのアンテナパターン例

両者を比較すると、アンテナの全体の大きさは同サイズにも関わらず、SALアンテナの方が、アンテナ利得が17dBも高く、さらにRDFも約0.5dB程良いことがわかります。また、最大利得が得られる仰角はどちらも29度ですが、その仰角におけるFB比もSALアンテナの方がデルタフラグアンテナよりも良い値となっています。SALアンテナの方がRDFが大きい原因としては、水平指向性パターンの違いを挙げることができると思います。一見両者は同じように見えますが、次の図のように両者の水平指向性パターンを切り替えながら眺めると、SALアンテナの方が、膨らみが少ないパターンになっていることがわかります。


 通常の中波ラジオ放送の電界強度と比較して極端に低い中波DX局を捕まえるには、なるべくSN比が良い条件(周囲の雑音をなるべく拾わない)で受信できることが大切です。そういう意味でRDFがなるべく大きなアンテナを使うことは中波DX成功のキーポイントであると私は考えています。もちろん、海に近く、シーゲイン(海利得)が稼げて、かつ人里離れた人口ノイズが少ないロケーションに行くことが第一優先事項ではありますが。

 給電点の位置と位相差を変えることにより、前方最大利得とFB比は犠牲になるものの、デルタフラグアンテナの前方最大利得よりも高い状態で、RDFをさらに向上させることは可能です。RDFの向上については、複数のSALアンテナを組み合わせることでも可能であるため、この検討はまた別の機会におこなうこととし、この次はSALアンテナの給電方法について検討していくこととします。給電方法は、D-KAZ(TDDF)アンテナとは違ったものになりそうです。(続く)

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