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Saturday, June 1, 2019

Tomorrow's Joe あしたのジョー

 アマゾンプライムであしたのジョー2を見ています。毎日仕事から帰宅後に、2話程度続けて見るのですが、ストーリーは大方憶えているくせに、見入ってしまう自分がいます。あしたのジョー2は1981年のオンエアですから、当時自分は16歳。高校生だったわけです。そして38年後の今、改めて見直してみると、当時とはまた別の視点でこのアニメを見ている自分に気がつきました。


 当時はまだ手書きのセル画だったと思われますが、なんだろう、一枚一枚の絵に宿る気迫、コマ割りのすばらしさ、シーンチェンジの仕方等、一級の映画を観ているような気分になります。アニメの色彩も、昨今のアニメのような蛍光色っぽい色ではない落ちついた色彩なのも好感が持てます。

 このシリーズでは、ジョーは力石の死のショックから、リングジョーで相手の顔にパンチを繰り出すことが出来ずに、嘔吐までする苦しみが何話にも渡ってしつこい程描かれます。そしてジョーがそこから立ち直っていく様子を克明に描いています。自分は一介のサラリーマンエンジニアですが、仕事やプライベートで辛いことがあると、すぐにへこたれがちになっていたところ、ジョーの立ち上がる様子を見て、何か勇気づけられているのです。そして、ジョーと彼を取り囲む人間達の中に、何か平成の時代に無くなってしまった懐かしさと、羨ましさを憶えるのです。高校生の頃は、白木ボクシングジムの白木葉子はあまり好きなタイプではありませんでしたが、53歳の今の自分には、逆に「美人だなぁ」と思ったりもしています(笑)素敵な女性です。

 ジョーのように何度も立ち上がることは現実にはあり得ないことかもしれませんが、それでも、「立ち上がれるかもしない。明日のために。」と信じる気持ち、勇気をこのアニメを見る者に与えてくれる作品のように思います。名作です。


 さて、先に、ジョーとジョーをを取り囲む人間達の中に感じる、羨ましさ...と書きましたが、それは一体何だろうと思ったわけです。社会学者の宮台真司先生の子育て指南書「ウンコのおじさん」という本の中に、こんなことが書かれています。

 「僕たちの本体は、法の外にあります。法の外でのシンクロが仲間かどうかを示してくれます。仲間を守るために法を守り、破ります。仲間が目的で、法が手段です。いまは、法に従うだけで仲間を忘れて生きられる(と思える)ようになりました。でも....(省略)昭和までは違いました。」(宮台真司他著 子育て指南書 ウンコのおじさんP.122より抜粋)

 昨今はとにかく、決まり、決まりの一点張りで、組織同士でもとにかく決まりを作って、作ったら、その決まりが浸透するか、していないかについてはお構いなく、「決まりを守ってくれないと困るのですが、何か?」的な(冷たい)対応をされてしまいます。正直息が詰まりそうです。(僕だけでしょうか。)幸せに生きることが目的で、そうするために決まりが手段としてあるはずですが、決まりを作ることが目的になってしまって、生きることが決まりに支配されっぱなしになっている気がします。

 ジョーの時代(昭和)には、コンプライアンスなんて単語はありませんでした。ほどほどに法を守り、ほどほどに法を破る、その均衡状態がほどよい加減だったように僕には感じられます。その均衡状態を肌感覚でわかっていた時代が、昭和だったのかもしれません。実際、泪橋の子供達がたばこを口にくわえるシーン(あとで団平親父にひっぱたかれますが)や自転車を二人乗りするシーン等も出てきます。パチンコ店にジョーを慕う未成年者の子供達が入っているシーンもある。平成、令和の時代では、とんでもないこと,
即アウトのように捉えられてしまうかもしれませんが、本当にとんでもないことでしょうか。と敢えて言ってみたくもなります。

 昨今の仲間意識。損得勘定に支配された見せかけの仲間意識とでも言いましょうか。全てではないにしろ、私自身の中にもいくつか見いだすことができます。カーロスを思うジョー、マンモス西の面倒を見るジョーを見ていると自分の中にある見せかけの仲間意識みたいなものが恥ずかしく思えてくるのです。

 それから、自分は最近どのくらい「本気」に取り組んだ物事があるのか?と自問自答した時、損得勘定だけで判断している自分がいたりもするのです。それをあたかも「本気」でやっているかのようなふりをしてその場しのぎをする。しかしジョーは違います。あくまでもピュアに、紀ちゃんに「ついていく自信がない」と言わせる程、本気でボクシングをしています。その本気さがガツンと伝わってきます。所詮アニメの世界なのかもしれません、ジョーのように本気でやったら、「変な奴」「ウザイ奴」と思われてしまうのがオチなのかもしれません。でも、とてもジョーの本気さの中に見える男気に憧れてしまうのです。

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